ビッグイアー!2016ー2017

1ヶ月前の今日(日本時間では7/4)、サッカー界のビッグイベント、欧州チャンピオンズリーグの決勝がウェールズの首都、カーディフのミレニアム・スタジアムで開催されました。対戦したのはスペインの強豪、レアル・マドリードとイタリアの強豪、ユベントス。戦前の予想では攻撃力の高いレアル・マドリードを矛、守備力の高いユベントスを盾に例えて、勝つのはどちらか、メディアの間でも連日予想が盛り上がりました。試合の中継時間はヨーロッパとの時差の関係で、日本時間では早朝の開催でしたが、私は寝過ごすといけないので目覚ましをかけてテレビでLIVE観戦しました。個人的には両チームの監督に興味があったので、今回は監督にフォーカスして話を進めて行きたいと思います。

マッシミリアーノ・アッレグリ

いきなり結論から入りますが、試合はジネディーヌ・ジダン監督率いるレアル・マドリードがマッシミリアーノ・アッレグリ監督率いるユベントスを4−1で破り、見事12回目の欧州クラブチームの頂点に立ちました。

ここで先にユベントスを率いるマッシミリアーノ・アッレグリ監督について触れたいと思います。私の記憶に残る顔だったので調べてみたのですが、2013年12月に日本代表の本田圭佑選手がACミランに加入した際、同チームで監督をしていた人でした。本田選手のデビュー戦は、私も興味があったのでテレビで観戦していたのですが、サッスオーロというチームと対戦し、ミラン戦で異常に力を発揮するドメニコ・ベラルディという当時19歳の若武者1人に4点を叩き込まれ、我慢の限界にきたアッレグリ監督が当初出場予定の無かった本田選手を緊急投入するというシーンがとても記憶に残っていたのですが、まさにその時の監督でした。ちなみにその試合の翌日、アッレグリ監督は成績不振により解任されます。しかしこの半年後には同じセリエAの強豪、ユベントスの監督に就任し、そこからそのシーズンにセリエAで優勝し、コッパ・イタリアというカップ戦を制覇。というどん底からのV時回復をやってのけたタフで優秀な監督なのです。しかもユベントスにとってコッパ・イタリアの制覇は20年ぶりの快挙でした。更に同年の欧州チャンピオンズリーグ準決勝では今回決勝で対戦したレアル・マドリードを下し、決勝に進出しているのです。ちなみに決勝ではバルセロナに惜敗。

その後アッレグリ監督率いるユベントスは直近の2016ー2017シーズンにおいてリーグ6連覇、コッパ・イタリア3連覇(彼が就任以後すべて制覇)という偉業を成し遂げるのです。しかも今大会のチャンピオンズリーグでは準決勝で因縁のバルセロナにリベンジしての決勝進出です。

戦前の予想では戦力差からレアル・マドリードが有利と見る批評が多かったのですが、私はこの経緯からユベントスが前評判をひっくり返す可能性も十分にあると思っていました。

ジネディーヌ・ジダン

しかし勝ったのはジダン監督率いるレアル・マドリードでした。ジダン監督は選手時代にバロンドールという欧州で最も優れた選手に贈られる賞を受賞したこともある、天才の名を欲しいままにした選手でした。

指導者(チームを率いるという意味での)としてのキャリアは2014年に当時レアル・マドリードのBチームの助監督に就任したところから始まります。そこからわずか1年半でレアル・マドリードのトップチームの監督に就任し、その年にいきなり欧州チャンピオンズリーグを制覇。翌年(2016ー2017シーズン)にはリーグ(プリメーラ・ディビシオン)優勝、そして冒頭の欧州チャンピオンズリーグ連覇というとてつもない偉業を成し遂げています。テレビの解説で聞いた話では、選手の掌握術に特に優れ、試合の重要度に応じてスターティングメンバーを大幅に入れ替えるターンオーバーの導入に成功し、重要な試合で選手がフレッシュな状態を保てるようにしたことが、結果につながったということでした。

私が実際試合を見ていて思ったのは選手交代でもその方針にブレが無く貫徹されているところです。試合後半64分にクリスティアーノ・ロナウドの決めた3点目で勝負はほぼ決まったように見えますが、その後すかさず最も疲れの見えるベンゼマに代えて縦に推進力のあるガレス・ベイルを投入。ちなみにベイルは開催地ウェールズの代表でもあるため、彼が出場することでスタジアムの観客がさらに味方につきます。つまりまず場を支配する采配をしています。次に82分に前半から運動量が多く、疲労の限界の見えたイスコに代えてドリブル突破が得意で決定力もあるマルコ・アセンシオを投入します。そしてこのマルコ・アセンシオはロスタイムにとどめの4点目を決めます。最後は89分に後半に入りイエローをもらい、直前にも疲労からか危ういプレーのあったトニ・クロースに代えてアルバロ・モラタを投入しています。途中交代で入った選手は皆他のチームであればレギュラークラスでしかも超攻撃的な選手ばかりです。よく選手交代はフィールドで戦っている選手に対するメッセージだと言われていますが、最後の最後まで隙を与えず攻め続ける意思を選手にも伝えていたのです。

ビッグイアー

最後にビッグイアーとは優勝カップの取っ手が大きいこと、つまりカップ本体を顔に見立てると取っ手は耳の部分、つまり耳が大きいことからビッグイアーと呼ばれているそうです。最初私も「big year」と思っていたのですが、正しくは「big ear」ということです。以前一度だけユベントスラウンジの展示があった時にビッグイアーの本物を生で見たことがありますが、優勝カップの耳が大きいのが印象に残っています。

ちなみに、テレビでも中継していましたが、優勝が決まった瞬間に職人さんが電動の彫金器具を使ってその場で勝利チームの名前をビッグイヤーに直接彫り込みます。つまり優勝チームはクラブに永久保存ができるのです。

試合後のセレモニーで、レアル・マドリードの選手が自分の出身国の国旗をユニフォームの上から体に巻きつけて観客の歓声に応えているのが印象的でした。銀河系といわれる世界最高峰のクラブチームに所属していてもなお、それを上回る自国への誇りをユニフォームの上から纏っている選手達を見て自国への強い深い思いを感じました。

日本人の選手もいつかこのビッグイヤーを掲げる日が来て欲しいと切に願って締めたいと思います。

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